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ECサイトを運営していると、「売上」や「CVR(コンバージョン率)」に追われ、ポップアップなどの施策もつい運営側の都合で設計しがちです。その結果、「このポップアップ、本当に顧客に必要な体験になっているのか?」と感じる場面もあるのではないでしょうか。
ポップアップは設計を誤ると、ユーザーの行動を邪魔し、鬱陶しい存在になってしまいます。一方で、顧客の状況やニーズ、文脈に合った内容とタイミングであれば、顧客体験(CX)やCVRを高める有効な手段にもなります。
本記事では、顧客体験を下げる施策と高める施策の違いを整理しながら、ポップアップがストレスの原因になる理由と改善策を解説します。あわせて、チャネルトークのCRMマーケティング機能を例に、CXを損なわずに成果を可視化する考え方も紹介します。
多くのECサイトでは、売上やCVRといったKPIが明確に設定されています。数値目標があること自体は重要ですが、問題は「短期的な数字達成」が最優先になってしまうことです。
その結果として、「とにかく目立つ場所に」「とにかくたくさん表示する」といった、運営側の都合が強く出た施策になりやすくなります。
さらに、現場のリソースには限りがあります。細かいセグメント設計や顧客ごとのシナリオ設計に時間を割けず、「全ユーザーに同じクリエイティブを出す」「全ページで同じポップアップを表示する」といった、一律の配信に落ち着いてしまうケースも少なくありません。
こうして、顧客一人ひとりの状況よりも、運営の効率や即効性が優先されやすい構造が生まれます。
ポップアップが嫌われる一番の理由は、ユーザーが「やりたいこと」を邪魔してしまう点です。
商品を比較したい、口コミを読みたい、カートの中身を確認したいなど、サイト訪問時には必ず何らかの目的があります。その行動の途中で、画面全体を覆うポップアップが突然現れると、ユーザーは意図しない中断を強いられます。
さらに、内容が自分ごと化できない場合、「自分には関係ない情報なのに、何度も表示される」というストレスが積み重なってしまいます。
同じポップアップが複数ページで繰り返し表示されたり、閉じるボタンが小さく分かりにくかったりする状況も、鬱陶しさを増幅させる要因です。
つまり、タイミング・頻度・内容の3つが噛み合っていない状態だと、ポップアップは簡単にCXを下げる存在になってしまいます。
顧客の文脈を無視した施策を続けると、単に「ちょっと不快」というレベルにとどまりません。
ページを閉じる、再訪しなくなるといった行動につながるだけでなく、「このブランドは自分のことを理解してくれていない」という印象が蓄積されていきます。その結果、長期的なロイヤルティやLTVの低下につながるリスクが高まります。
また、短期的な成果だけを追う施策は、社内でも誤解を生みやすくなります。
たとえば「ポップアップを増やしたら一時的にCV(コンバージョン)は上がったが、離脱率も上がっている」といった状況が起こり得ます。このとき、数字の一部だけを見て判断すると、CXを犠牲にした施策が正しいものとして継続されてしまうおそれがあります。顧客体験とマーケティングが分離したままでは、中長期でブランド価値を損なうリスクが高いという点を、最初に押さえておく必要があります。
顧客体験を軸にする、というのは理想論のように聞こえるかもしれません。しかしECの現場で考えると、とても実務的な考え方です。
ユーザーは「施策そのもの」にお金を払っているわけではなく、「商品を見つけやすかったか」「不安なく購入できたか」「またここで買いたいと思えたか」といった体験全体で判断します。つまり、どれだけ施策を打っても、CXが低ければ長期的な売上は安定しないということです。
一方で、広告や割引などの施策は、短期的には数字を押し上げてくれます。そのため、どうしても「今月の売上」「今回のキャンペーン結果」に意識が向きがちです。
ここで視点を切り替え、「この施策は、顧客の体験を良くしているだろうか?」を基準に考えることで、短期と中長期のバランスを取りやすくなります。
CXを軸にするとは、売上だけでなく、顧客の期待・安心・納得まで含めてマーケティングを設計することだと言い換えられます。
では、具体的にどのような視点でCX起点の施策を考えればよいのでしょうか。ポイントになるのは、次のような問いです。
このユーザーは「なぜ」このページに来ているのか
いま、この瞬間に「何に困っている可能性が高いか」
次の一歩として「どのようなコンテンツがユーザーにとってプラスか」
たとえば、商品一覧ページにいるユーザーは「比較・検討の途中」であることが多く、いきなりクーポンを提示するよりも、「人気順」「レビューの高さ」など判断材料を提供する方が親切なケースがあります。
逆に、カートページまで進んでいるユーザーには、「送料」「返品条件」「支払い方法の安全性」といった不安要素を解消する情報の方が価値を持ちます。
CX起点で考えるとは、ユーザーの状況と気持ちを具体的にイメージし、それに沿って次の一手を決めることです。
単に「この施策はCVRが上がるか」ではなく、「この場面の顧客にとって、それは本当に助けになるか」という視点を常にセットで持つことが重要になります。
オンラインでは、ユーザーの行動が多くのログとして残ります。
どの流入元から来たのか、どの商品を何回見ているのか、カートには入れたが離脱したのか、レビューを読み込んでいるのか。こうした行動データは、「顧客がいま何に興味を持ち、どこで迷っているのか」を読み解くためのヒントになります。
顧客行動や閲覧ページの情報を活用できると、たとえば次のような打ち手が見えてきます。
特定カテゴリの商品を何度も見ているユーザーには、そのカテゴリに限定した情報を出す
サイズや素材ページを長く見ているユーザーには、「失敗しない選び方」のガイドを案内する
カートまで進んで離脱したユーザーには、決済や配送に関する不安を解消する内容を提示する
このように、行動データを通じて顧客の興味・迷い・不安を把握できるほど、体験に寄り添った案内がしやすくなります。
逆に、すべてのユーザーに同じ内容を出してしまうと、「自分の状況を見ていないサイト」という印象が強まり、CXを下げる方向に働いてしまいます。
従来のマーケティングは、「こちらから届けたい情報を発信する」という一方向の考え方が中心でした。
しかし、顧客体験を重視するのであれば、ユーザーが置かれている文脈に合わせて情報を選び直す必要があります。文脈とは、「ユーザーがどのページにいて、何を見ていて、これまでどんなやりとりをしてきたか」といった背景のことです。
たとえば、過去にサイズ交換について相談してきたユーザーが、再び同じカテゴリの商品ページを見ているとします。このユーザーに対しては、「サイズの選び方ガイド」や「前回の購入履歴を踏まえたおすすめサイズ」といった情報の方が、一般的な割引クーポンよりも価値が高いかもしれません。ここで重要なのは、「何を届けたいか」ではなく、「この人にとって、いま何が役に立つか」です。
後ほど詳しく紹介するチャネルトークというツールのように、日々のコミュニケーションと顧客情報をひとつの基盤で扱えるツールは、この“文脈に沿った情報提供”を設計しやすくします。会話履歴や行動データをもとに、誰に・どのタイミングで・どの内容を見せるべきかを考えられるようになるためです。
一方通行の発信から、顧客の文脈に合わせた案内へと切り替えることが、CXを高めるマーケティングの土台になっていきます。
CRMは「顧客情報を管理するツール」と説明されることが多いですが、CXの観点で見ると本質は少し違います。単なる「住所録」や「購入履歴の一覧」ではなく、顧客一人ひとりを継続して理解し続けるための土台がCRMの役割と言えます。
ECの現場では、顧客との接点がさまざまな場所に分散しがちです。たとえば、次のような情報がそれぞれ別のシステムに存在しているケースは少なくありません。
会員登録情報(名前・メールアドレス・住所など)
購入履歴や購買頻度
サイト上での閲覧履歴やカート情報
問い合わせや相談の履歴
メールやキャンペーンへの反応履歴
この状態のままだと、「何度も買ってくれているのに、いつも新規顧客と同じ扱いをしてしまう」「過去に問い合わせで不満を伝えてくれたのに、その文脈を踏まえない施策を配信してしまう」といったギャップが生まれます。ここをつないでくれるのがCRMです。
CRMの役割は、バラバラに散らばった顧客情報をひとつにまとめ、同じ“1人の顧客”として認識できるようにすることです。それによって「誰が、どんな背景を持ち、これまでどのような体験をしてきたのか」を理解しやすくなり、CXを意識したコミュニケーション設計の前提が整います。
データが統合されると、顧客の「状態」と「意図」が見えやすくなります。単純に「この商品を買った人」ではなく、次のような角度から顧客を捉えられるようになります。
初回購入前なのか、すでに何度も買ってくれているのか
どのカテゴリ、どの価格帯の商品を好んで選んでいるのか
最近サイトに来ているのか、しばらく離れているのか
問い合わせでどんなことを気にしていたのか
どの施策には反応し、どれには反応していないのか
こうした情報がつながると、「この顧客はいま、どんな状態にいるのか」「次に何を知りたいと感じそうか」という仮説が立てやすくなります。たとえば、
直近でサイズに関する問い合わせをしていた顧客が、再び同じカテゴリの商品をチェックしている
定期的に購入していた顧客が、しばらくサイトに来ていない
あるカテゴリだけ閲覧が増えているが、購入には至っていない
といった動きが見えることで、それぞれに合わせた案内やサポートの余地が生まれます。 データ統合の価値は、「数字を眺めること」ではなく、「顧客の意図を読み解ける状態にすること」にあります。
CRMが整ってくると、マーケティング施策の設計も大きく変わっていきます。従来のように「全ユーザー向けの一律施策」ではなく、顧客の状態や文脈に応じた施策を組み立てやすくなるためです。
具体的には、次のような変化が起こります。
ターゲットの精度が上がる
例:単に「新規ユーザー」ではなく、「初回訪問でカートまで進んだものの離脱したユーザー」など、より細かく絞り込めるようになります。
出すべきメッセージが明確になる
例:過去の問い合わせ内容や購入履歴を踏まえ、「この人が気にしていそうなポイント」に合わせて内容を変えられます。
ポップアップなどの接点が“文脈に合うかどうか”で判断できる
例:「単に滞在時間が長いから出す」のではなく、「比較検討のフェーズにいると判断できるから、選び方ガイドを出す」といった設計が可能になります。
施策の成果を“体験の質”とセットで評価しやすくなる
例:コンバージョン率だけではなく、特定のセグメントに対して離脱率が下がったか、再訪が増えたかといった観点で評価できます。
このように、CRMは単に顧客を分類するための仕組みではなく、CXを前提にしたマーケティングを実行するための「設計図」と「評価軸」を提供してくれる存在です。
CRMの機能を搭載したチャネルトーク というツールでは、顧客データと日々のコミュニケーション、サイト上での行動情報をつなぐことで、このCRM的な考え方を実務レベルで活かしやすくなります。
CXを高めるポップアップに変えていくためには、まず設計の出発点を「とりあえず出す」から「誰に・いつ・なぜ出すのか」に切り替える必要があります。
ここを曖昧にしたまま運用すると、どうしても運営側の事情が前面に出てしまい、結果的にユーザーの体験を損ねてしまいます。
誰に(Who) 新規とリピーター、頻繁に購入する人と検討段階の人では、求めている情報が異なります。本来は同じポップアップを全員に見せるのではなく、「この条件の人にだけ出す」といった前提をはっきりさせておくべきです。
いつ(When) ページを開いた直後なのか、スクロールした後なのか、カート投入のあとなのか。ユーザーが何をしているタイミングで出すのかによって、同じ内容でも受け止められ方が変わります。
なぜ(Why) 運営側の目的(CVを増やしたい、回遊を増やしたい)だけでなく、「このポップアップはユーザーにとってどんな助けになるのか」を言語化しておくことが重要です。
この3つを事前に定義しておくことで、「とりあえず全ページに常に表示する」といった雑な設計から卒業できます。
ポップアップは、顧客体験を補助するための“案内役”なのか、それとも押しつけになっているのか。その違いは、この設計の精度に大きく依存します。
タイミングの設計は、CXを左右する要素の中でも特に重要です。
同じ内容のポップアップでも、「いまそれを知りたかった」という瞬間に出てくれば好意的に受け止められますが、文脈とずれていると一気に鬱陶しさが増してしまいます。
たとえば、次のような考え方ができます。
一覧ページでの表示まだ比較検討の初期段階であれば、「ランキング」「スタッフのおすすめ」「選び方ガイド」など、選択を助ける情報が役立ちます。ここでいきなり割引を出すよりも、まずは判断材料を提供する方が自然です。
商品詳細ページでの表示サイズや素材、レビューをじっくり見ているユーザーには、「サイズに関するよくある質問」や「前回購入者のレビューの抜粋」など、不安を解消するコンテンツの方がフィットしやすくなります。
カートページでの表示 決済直前のユーザーに対しては、「送料ラインまであと◯円」「お届け予定日」「返品ポリシー」など、最後の一押しになる情報が効果的です。
さらに、滞在時間やスクロール量、直前のページ遷移なども参考になります。
「同じページに長くとどまっている=迷っている可能性がある」と読み取れる場合には、その迷いを解消する情報を出すことでCXを支えられます。逆に、ページを開いた瞬間にフルスクリーンでポップアップを出してしまうと、「まだ何も見ていないのに邪魔された」という印象だけが残りかねません。
このように、ユーザーの行動と文脈から“いま何を考えていそうか”を想像し、そのタイミングに合わせて内容と表示条件を設計することが、CXを起点にしたポップアップ運用のポイントになります。
最後に、ポップアップがストレスにならないためのチェックポイントを整理します。実務で設計を見直す際の観点として、次のような項目を用意しておくと便利です。
表示回数の制御はできているか
同じセッション内で何度も表示していないか
すでに一度閉じたユーザーに、短期間で繰り返し見せていないか
すでに行動したユーザーを除外できているか
すでに登録・購入済みのユーザーに、同じ登録・購入訴求のポップアップを出していないか
内容は“誰にとってのメリットか”が明確か
「お得情報です」とだけ書かれていないか
「あなたのいまの状況で、何がどう良くなるのか」が伝わる表現になっているか
閉じやすさ・ストレスの少なさが担保されているか
閉じるボタンが小さすぎないか
スマートフォンでも簡単に閉じられる配置になっているか
他の施策との重なりを考慮しているか
バナー、メルマガ、LPなどとメッセージが過剰に重複していないか
これらを定期的に確認することで、「運営都合の押しつけ」になりかけているポップアップを早期に発見できます。本来、ポップアップはユーザーを驚かせるためのものではなく、「次に進みやすくする」「迷いをほどく」ための小さなサポート役です。顧客体験を起点に、役割と設計を見直していくことが、CXを高めるポップアップの第一歩だといえるでしょう。
チャネルトークは、「顧客と日々会話をするコミュニケーションツール」として使われることが多いです。サイトからの相談、購入前の質問、購入後のフォローなど、さまざまなコミュニケーションが1つの画面に集約されます。この「お客様との会話の履歴」と「顧客情報」を同じ基盤で扱えることが、顧客理解を深めるうえで大きな強みになります。
一般的なCRMでは、購買データや属性情報が中心になりがちです。一方、チャネルトークでは、
どんな問い合わせが多いのか
どのタイミングで不安や迷いが生まれやすいのか
過去にどのようなやり取りをしてきたのか
といった“生きた声”が、そのまま顧客情報と結びつきます。これにより、「購入履歴だけでは見えない顧客像」を立体的に把握しやすくなります。
こうした背景を踏まえると、チャネルトークのCRMマーケティングは、単に属性や行動ログに基づいた配信ではなく、コミュニケーションを起点にしたCX重視の配信設計がしやすい仕組みだと言えます。
チャネルトークのCRMマーケティング機能では、顧客ごとの属性や行動に加えて、ツール上で管理している顧客情報をもとに配信条件を設計できます。たとえば、次のような観点でセグメントを切り分けることが可能です。
購入回数や累計金額
特定カテゴリ・商品への興味関心
過去にどのようなページをよく閲覧しているか
問い合わせの有無や、その後の行動
これに会話履歴から分かる「その人がどこで迷いやすいか」という情報を重ねることで、単なる“属性別キャンペーン”ではなく、課題やニーズに寄り添った配信設計がしやすくなります。
たとえば、サイズや使い方について何度か質問してくれている顧客に対しては、「サイズ選びのポイント」や「活用事例」の案内を中心に配信する。一方で、リピート購入が多い顧客には、新作や関連商品の提案を強める。こうした設計が同じツールの中で完結するため、EC運営側にとっても運用しやすい構造になっています。
チャネルトークのCRMマーケティングでは、サイト上で表示するポップアップも、顧客の状態や行動に応じて細かく条件設定できます。
たとえば、次のようなイメージです。
初回訪問で特定カテゴリの商品を複数見ているユーザー
カートに商品を入れたまま、数分間ページを行き来しているユーザー
特定のキャンペーンページから流入してきたユーザー
こうした行動パターンを条件として設定することで、「誰に・いつ・どのページで」表示するかを細かくコントロールできます。さらに、チャネルトーク上で蓄積されている顧客情報と組み合わせることで、「過去にどんなやり取りをしてきたか」を踏まえたポップアップ設計も視野に入ります。
重要なのは、「一律にポップアップを出す」のではなく、「顧客の文脈に応じて必要な案内だけを出す」という設計思想に切り替えやすい点です。
これにより、「とりあえず出しておく」ポップアップから、「CXを補完する案内役としてのポップアップ」へと位置づけを変えていけます。
どれだけCXを意識して設計しても、実際にどの程度効果が出ているのかが見えなければ改善は進みません。チャネルトークのマーケティング機能には、配信ごとの成果を確認できる統計画面が用意されており、開封やクリックといった基本的な反応だけでなく、売上への貢献度も把握できるようになっています。
これにより、次のような振り返りが可能になります。
どのセグメントに対するポップアップが、どのくらい売上に寄与しているか
クリック率は高いが、購入にはつながっていない配信はどれか
体験を損なわずに成果を出している配信の共通点は何か
こうしたデータをもとに、「もう少し表示タイミングを遅らせた方が良いのでは」「内容をサポート寄りに変えてみよう」といった仮説検証を継続的に行えます。CXと成果の両方を同じ指標群の中で確認できるため、“売上だけを見る運用”に戻りにくい点も大きなメリットです。
チャネルトークを使うことで、顧客理解 → 文脈に沿った配信設計 → 結果の可視化 → 改善というサイクルを1つのプラットフォーム上で回せるようになり、顧客体験を守りながらマーケティングの成果を高めていくことが現実的な選択肢になります。具体的な設定イメージについては、以下のTipsも参考になります。
参考:広告以外で売上を伸ばすには?WebチャットでCVR70%を達成したサイト改善のポイント(https://channel.io/ja/blog/articles/webchat-5e6fa5b0 )
CXを高めると聞くと、大掛かりな仕組み変更をイメージしがちですが、最初の一歩は「すでにある接点を見直すこと」から始められます。
特にECサイトでは、次のようなポイントが重要な接点になります。
トップページ・カテゴリページ
商品一覧・商品詳細ページ
カート・購入フロー
FAQやガイドページ
問い合わせ・チャット・フォームなどの相談窓口
まずは、それぞれの接点で「ユーザーはどんな目的でここに来ているのか」「どんな不安や疑問を持ちやすいか」を書き出してみると良いです。
そのうえで、
余計なポップアップやバナーで邪魔していないか
本当に知りたい情報にたどり着きやすいか
不安を解消する導線が用意されているか
といった観点でチェックしていきます。
チャネルトークを導入している場合は、各接点で寄せられている質問の傾向を見ることで、「どこにボトルネックがあるか」を把握しやすくなります。
本格的なCRMプロジェクトを立ち上げようとすると、時間も工数もかかります。そこでおすすめなのは、小さく始めて、少しずつ解像度を上げていく進め方です。
たとえば、次のようなステップが現実的です。
最低限の顧客情報を整理する
会員情報(ID、名前、連絡先)
購入回数・最新購入日
主な購入カテゴリ このレベルでも、「新規/リピーター」「高頻度/低頻度」といった大まかな区分が可能になります。
よくある行動パターンを把握する
特定カテゴリを何度も閲覧しているだけの人
カート投入後に離脱しやすい人
セール時だけ来訪が増える人 など、サイトのアクセス傾向をざっくりと掴みます。
1〜2個のシンプルなセグメント配信から始める いきなり細かく分けすぎず、「明らかに体験が良くなりそうなポイント」に絞ってポップアップやメッセージ配信を設計します。
結果を見て改善する
成果が出ているセグメントの条件を少し広げる
反応が薄いセグメントは内容やタイミングを見直す
チャネルトークのように、顧客情報とコミュニケーション履歴が一つにまとまっているツールであれば、このサイクルを無理なく回し始めることができます。
最初から完璧な設計を目指すのではなく、仮説→実行→振り返りを回せるスコープから始めることがポイントです。
チャネルトークを使う場合、「カスタマーサポート(接客)」と「マーケティング配信」を別々に考えず、同じCX向上プロジェクトの一部として扱うと設計しやすくなります。たとえば、次のような流れです。
チャットや相談内容から“つまずきポイント”を洗い出す
よく聞かれる質問
つい長く説明してしまう部分
同じ誤解が何度も起きている箇所
そのつまずきを先回りして解消するポップアップやコンテンツを作る
商品詳細ページで「サイズに関する質問」が多ければ、サイズガイドを案内するポップアップを設置する
決済前の不安が多ければ、送料や返品ポリシーに関する案内を強化する
配信結果をチャネルトーク上で振り返る
どの配信がクリックされやすいか
その後の購入につながっているか
配信後の問い合わせが減っているか
うまくいったパターンを他のページ・他のセグメントにも展開する
このように、チャネルトークで日々届く“生の声”をヒントにしながら、ポップアップやサイト内の導線を少しずつ改善していくと、CXと成果の両方を高めるサイクルが自然と回り始めます。
一気にサイト全体を作り替える必要はありません。気になる接点を一つ決めて、小さな改善を積み重ねていくことが、結果的に大きな顧客体験の差につながっていきます。
参考:売上に繋げる CRMマーケティング(https://channel.io/ja/marketing)
ここまで見てきたように、顧客体験を高めるかどうかは、個々の施策そのものよりも、「どれだけ顧客を理解しようとしているか」によって大きく左右されます。
同じポップアップでも、運営都合だけで作られたものと、顧客の状況や気持ちを踏まえて設計されたものでは、まったく別の体験になります。
ECサイトでは、ページビューやCVRといった数字に目が行きがちですが、その背後には必ず一人ひとりの行動があります。誰が、どのような文脈で、どんな気持ちでサイトを訪れているのかを想像し、その理解を深めることがCX向上の出発点になります。
CRMは、単に顧客情報を蓄積するための仕組みではありません。 本記事で整理してきたように、
行動データや購入履歴
コミュニケーションの履歴
サイト上での文脈
をひとつにつなぐことで、初めて「顧客体験を踏まえたマーケティング設計」が可能になります。ポップアップ施策も同じです。
「誰に・いつ・なぜ」表示するのかを、CRMに基づいて設計し直すことで、鬱陶しい存在から、顧客を助けるガイド役へと変えていくことができます。
この「CRM × CX」という視点を持つことが、今後のECマーケティングにおいて重要な差別化要素になっていきます。
最後に、この記事を読んだ後にできる、具体的な次の一歩を整理します。
まずは、自社サイトのポップアップやキャンペーンを眺めてみて、 「これは誰の、どんな状況を助けている施策なのか?」と問い直してみる。
顧客からよく届いている質問や不安の声を洗い出し、 それを先回りして解消するための案内や導線を考えてみる。
チャネルトークのようなツールを活用し、 顧客情報・会話履歴・行動データをつなげて見る習慣をつける。
こうした小さな取り組みの積み重ねが、結果としてCXと成果を同時に高めるマーケティングにつながっていきます。
もし「顧客体験も成果も、どちらも妥協したくない」と感じているなら、チャネルトークのCRMマーケティング機能を活用しながら、自社ならではのCX起点のポップアップ設計に取り組んでみてください。